「博多うどん」と「讃岐うどん」のどっちが好きかと聞かれれば答えに窮するが、福岡で一番好きなうどん屋はどこかと聞かれれば「志成(しなり)」だと答える。
もちろん、県内全てのうどん屋に行ったわけではないので暫定ランキングだが、それほどまでにここのうどんは完璧だと思える。
福岡では、牧のうどんなどのように、柔らかい麺の博多うどんが主流だが、それでも「讃岐うどん 志成」は、毎日行列をつくる人気店だ。
中でも、一番のお気に入りが「志成ぶっかけうどん(730円)」。
ツヤのある美しい麺に、ちくわ天、かしわ天、半熟卵天、しそ天という最強の組み合わせ。
ご主人は、本場讃岐でうどん作りを学んでおり、茹でたて、揚げたてにこだわっているから、いつでも最高の状態を食すことができる。
ツルツルののど越しに、強いコシ、これぞ讃岐うどんのお手本と言わんばかりだ。
主張し過ぎず、それでいて存在感のある上品な出汁が主役の麺と絡み合い、最高の味を生み出す。
天ぷらは、どれも一級品。
ここの天ぷらは、もたれる感じが全然しないのは何故だろうといつも思う。
半熟卵天は、ひと噛みするとトロリと半熟の黄身が顔を出す。この瞬間が密かな楽しみでもある。
清潔な店内、心地よい接客、そのすべてが完璧なのだ。
ちなみに、福岡のうどんと言えば、大地のうどんなどの「豊前裏打会」が有名だが、 ここ志成の店主・志浪政憲さんを中心とした『吟麦会(ぎんむぎかい)』というネットワークも存在し、そこでは自家製麺づくりに情熱をそそぐ同志たちが切磋琢磨しているそうだ(シティ情報ふくおか 10月号より)。