「福岡検定」という試験があるのをご存知だろうか? 福岡好きでも解けない問題が多く、勉強しだすとすっかりハマってしまう。この記事では、「福岡検定」とはどのような試験なのか、その勉強法や受験した感想なども交えて紹介したい。
もくじ
意外と知らない福岡のこと
福岡の人はたいてい、福岡が大好きだ。だけど、本当に福岡のことを知っているのだろうか。
例えば、以下のような問題に、全て正解することができるだろうか?
【問題1】
東京 2020 オリンピック・パラリンピック 競技大会マスコットキャラクターの作者で、福岡市出身のイラストレーターは誰か。
①末政ひかる ②長谷川法世 ③小林よしのり ④谷口亮
【問題2】
福岡市地下鉄の賀茂駅のシンボルマークは、賀茂神社の信仰の対象ともなっている生き物をモチーフにしているが、その生き物は何か。
①うなぎ ②かも ③なまず ④しか
【問題3】
マリリン・モンロー、ジョー・ディマジオ夫妻が新婚旅行で福岡を訪れた際に宿泊したホテルはどこか。
①ホテルニューハカタ ②国際ホテル ③福岡日活ホテル ④博多帝国ホテル
【問題4】
江戸時代、福岡と博多の境にあった門はどれか。
①数馬門 ②赤坂門 ③中洲門 ④枡形門
※いずれも「第6回 福岡検定 初級」より
(答えはこの記事の最下部に記載)
筆者も「福岡大好き!」な人間のひとりだが、福岡の歴史や文化など、実は知らないことが山ほどあった。本当に福岡のことが好きで、福岡のことを語るなら、まずはちゃんと福岡のことを知るところから始めるべきなのかもしれない。
福岡検定とは
「福岡検定」とは、福岡市の経済観光文化局が主体となって、2014年から毎年1月か2月に実施している検定試験のことだ。初級・中級・上級に分かれ、受験資格には年齢・性別・国籍などの制限がないため、誰でも受験することができる。(ただし、上級は過去の中級合格者のみ受験可)
受験要項
【出題方式】
マークシート方式・合計80問出題(1問1点)
【合格基準】
初級・中級は56点以上、上級は64点以上で合格
【試験時間】
初級は50分間、中級・上級は70分間
【受験料】
初級2,500円(中学生以下は1,500円)、中級3,500円、上級5,500円
(団体で申込みをした場合には上記額から2割を差し引いた額)
※いずれも第6回(2019年1月実施)の内容
合格率(第5回)
初級・・・62.6%(296/473人)
中級・・・42.5%(68/160人)
上級・・・7.5%(4/53人)
まずは公式ブックを購入
福岡検定を受験するなら、まずはこちらの本『福岡博覧』を購入しよう。古代の遺跡から現代にいたるまで、福岡の歴史や文化が詰まった、福岡検定の「公式ブック」だ。
初級受験者であれば、この本と後述する過去問だけでほとんど対応可能だが、中級・上級受験者には、福岡市博物館内ミュージアムショップで購入できる『FUKUOKA アジアに生きた都市と人びと』(福岡市博物館常設展示公式ガイドブック)や、無料の広報誌『市史だより Fukuoka』(第9〜23号)も推奨されている。
試験内容
【初級】
公式ブック「福岡博覧」及び福岡検定公式ホームページの内容を中心に基礎的な知識を問う。
【中級】
公式ブック「福岡博覧」及び福岡検定公式ホームページの内容を中心により深い知識を問う。
【上級】
公式ブック「福岡博覧」及び福岡検定公式ホームページの内容に準拠して、その他、専門的な知識を問う。
ちなみに、「福岡検定」という名前だが、公式ブックや過去問を見る限り、出題範囲は「福岡市」の事柄にほぼ限られれるため、実質的には「福岡市検定」だと言えるだろう。
過去問が一番の対策
さて、公式ブックも入手したところで、いざ勉強開始。ここで、いきなり公式ブックの1ページ目から読み始めても、なかなか頭に入ってこないだろう。そこでおすすめなのが「過去問」だ。福岡検定の公式サイトにPDFで掲載されているので、ダウンロードして出力しておこう。
筆者おすすめの勉強法は、まず第1回の過去問にチャレンジし、公式ブックで間違った問題の情報が掲載されているページを探す。該当箇所に線を引き、その周辺情報も含めて熟読。一通り終わったら、第2回の過去問にチャレンジし、あとはその繰り返しだ。また、線を引くときに各回ごとに色を変えておくと、よく出題される項目が徐々につかめてくるのでおすすめだ。
筆者が最初に第1回の過去問を解いたとき、正答率はわずか約3割だった。しかし、上記の方法で勉強したところ、第2回では約6割、第3回では約7割、第4回では約8割と上昇。過去に出題された問題が、ほとんど同じ形で再度出題されることも多いため、過去問を解くのがもっとも効率のよい勉強法だと言えるだろう。
よく出る問題(筆者調べ)
- 金印
- 承天寺
- 島井宗室&神屋宗湛
- 太閤町割
- 福岡城
第1回〜第5回の過去問と第6回の受験を通して、筆者が特に「よく出るなぁ」と感じたのはこの5つだ。これらは、同じ内容でも視点を変えることで、様々な問題を出題することができるため、重点的に勉強しておいたほうがいいだろう。
また、毎回1割程度は、公式ブックにも載っていない「時事問題」が出題される。福岡市内で開催予定の大型イベント、ニューオープン・リニューアルオープンした施設、福岡市が力を入れている事業など、日頃からローカルのニュース番組でチェックしておこう。
いろんな施設で使える合格者特典
福岡検定の合格者には、「福岡おもてなしマイスターバッジ」が贈呈される。色は3色あり、初級はブロンズ、中級はシルバー、上級はゴールド。これであなたも、福岡検定公認の福岡おもてなしマイスターということだ。
また、一緒に贈られてくる「福岡おもてなしマイスター 認定証(合格カード)」もあなどれない。福岡の観光施設で、1年間様々な割引やプレゼントなどの特典を受けることができる。
第6回 福岡検定 初級 合格者特典(一部)
- 博多一幸舎
→半熟味玉子1個プレゼント - マリンワールド海の中道
→入場料 大人200円割引 - のこのしまアイランドパーク
→入園料の20%相当の金券(園内使用)進呈
※その他の特典はこちら。
福岡の街を見る目が変わる
今回「福岡検定」を受験してみて感じたのは、「実は福岡のことを全然知らなかったなぁ」ということ。「今の」福岡のことは知っていても、福岡がたどってきた歴史や、古くから大切にされてきた文化については、まだまだ知らないことが山ほどある。
学生時代は、「歴史」の授業がとても苦手だったが、それは、自分との関連性を見いだせず、どこか遠い国の話のように聞こえていたからだろう。大人になった今、改めて福岡の歴史を学ぶと、「いつも通っているあの場所にそんな歴史があったのか」と、とても身近に感じることができる。
そうやって福岡の歴史や文化のことがわかってくると、いつも目にしている建物や、ニュースで紹介される出来事、食卓にのぼる料理まで、今までとは少し違った見え方がしてくる。そして、福岡城跡や博多旧市街など、挙げだすとキリがないが、改めて訪れたいと思う場所がいくつも出てきた。
まだ初級に合格しただけなので、来年は中級にチャレンジし、いつかは上級合格も目指したいと思う。
ちなみに、福岡検定の公式サイトでは、力試しとして「プレ検定」を受けることができるので、興味を持った人はぜひチャレンジしてみてほしい。
TEXT・PHOTO:山下侑一郎
【答え】問題1は④、問題2は③、問題3は②、問題4は④