福岡市内中心部から車で1時間ちょっと。福岡が誇る人気観光地「柳川」。川下りという名物のアトラクションが有り、ランチは迷わず、うなぎ。観光名所が少ない福岡において、これほどわかりやすい観光地は貴重だ。そこで、実はまだ柳川観光未経験という人のために、改めて柳川の魅力と、初めての柳川観光に役立つオススメのモデルコースを紹介したいと思う。
もくじ
まずは柳川の代名詞「川下り」から
柳川観光でまず最初に向かうのは川下りの乗船場だ。水郷柳川には、「掘割(ほりわり)」と呼ばれる水路が縦横に走っている。かつて城下町として栄えた頃から、この掘割が城を守り、その水は生活用水、農業用水として利用されてきたそうだ。そんな掘割を「どんこ舟」に乗って巡るのが、柳川観光の代名詞にもなっている「川下り(お堀めぐり)」だ。
川下りの乗船場は5つ。それぞれ以下の5社が運営している。
- 「水郷柳川観光」
- 「柳川観光開発」
- 「大東エンタープライズ」
- 「城門観光」
- 「柳川リバー観光」
今回利用したのは、乗船場が西鉄柳川駅から一番近い「水郷柳川観光」。無料の駐車場も有るので車で来てもOK。
川下りのコースと仕組み
こちらが川下りのコース。柳川駅近くの「下百町乗下船場」から、観光の中心地にある「御花乗下船場」まで、約3km。所要時間は約1時間のコースだ。一般の乗合船は予約不要。受付後、最大でも30分以内に随時出発する。
◎料金(乗合船):大人1,500円(中学生以上)、小人800円(5歳~小学生)
ここで念のため注意しておきたいのは、柳川の川下りは「片道運行」だということ。筆者は最初、勝手に「周遊」だと勘違いしていたのだが、実際には、乗り場と下り場が異なり、舟で乗り場まで戻って来ることはできない。
下船後に戻って来るときは、路線バスかタクシー、もしくは20〜30分間隔で運行している無料の送迎車を利用する。
冬の風物詩「こたつ舟」
毎年12月から2月までの冬の時期には、どんこ舟の上にこたつを乗せた「こたつ舟」として運行している。
こたつの中には、炭を入れた火鉢が設置されているので、冬でもぽかぽか温かい。もちろん靴は脱ぐ必要があり、脱いだ靴はバケツリレーのように手渡しで先頭の一箇所に固めて置いておく。降りる時もまたバケツリレー。できれば綺麗な靴を履いておきたい。
夏の時期は日差しが強いので、この「ばっちょ笠」と呼ばれる帽子をレンタルするといいだろう。
いざ、出船。
乗り合いの人数も揃い、いざ出船。みんなでこたつに入ったまま、屋外を(しかも川の上を)移動するというなんとも不思議な感覚に、心ウキウキ。
柳川というその名の通り、川沿いに並ぶ柳の木が美しい。川の真ん中をゆっくりと進むどんこ舟。ちなみに、「どんこ舟」とは、ハゼ類のドンコという魚に似ていることからそう呼ばれるそうだ。
えっ、こんな狭いところ通れるの??
船頭さんの熟練の技で、狭い掘割もなんのその。
低い橋の下をくぐる時は、みんなで頭をさげる。ちょっとしたアトラクション感覚。
城下町の名残りを感じさせる「なまこ壁」や、明治後期に建てられたという赤レンガの「並倉」など、見どころが点在している。
季節によっては紅葉も楽しめる柳川の川下り。ガイドをしつつ、時折歌を歌ってくれる船頭さんの声に耳を傾けながら、ゆったりとした時間が流れる。
水上売店「一期一会」
しばらく行くと突如現れる水上売店「一期一会」。
お酒や甘酒、あげもち、ちくわなどを販売。
船頭さんの巧みな竿さばきでどんこ舟を水上売店に横付け。
あげもちを購入。せっかく「こたつ」があるので、みかんを買えるとより嬉しい。こたつには、やっぱりみかんだと思う。
ここ(水上売店)までで、1時間コースの約2/3。
北原白秋作詞の童謡「待ちぼうけ」で歌われた少女の石碑「まちぼうけの碑」。これが見えたらゴールはもうすぐそこだ。
運が良ければ、披露宴会場に向かう新郎新婦を乗せた「花嫁舟」に出会うことも。
船頭さんの秘技「八艘飛び」
こちらは若い船頭さんが繰り出す秘技「八艘飛び」。低い橋をくぐる際、乗客と一緒にしゃがむのではなく、一度橋の上によじ登り、橋の下を通過してきた舟に飛び乗るというパフォーマンス。柳川の川下りには、観光客を飽きさせない工夫が盛りだくさんだ。
ランチはもちろん鰻(うなぎ)
柳川に来たら、ランチは「うなぎ」だ。絶対的な柳川名物。迷う必要がない。ただ、お店選びは悩ましい。
人気のお店は「 元祖本吉屋 (がんそもとよしや) 」「若松屋 (わかまつや)」「御花(おはな)」など。「元祖本吉屋」は今回利用した川下りの乗船場近くにあるため、ここを選ぶのであれば、「うなぎ→川下り」という流れになる。「若松屋」「御花」は下船場のすぐそば。10時半頃に川下りをスタートすれば、「川下り→うなぎ」の流れがスムーズだ。今回のランチは「御花」を選択。
御花で柳川名物「うなぎのせいろむし」
「柳川藩主立花邸 御花」は、元文三年(1738年)に柳川藩五代藩主の立花貞俶(さだよし)が建てた別邸だ。その後、明治時代に立花伯爵家の邸宅となり、明治42年(1909年)から43年(1910年)にかけて、写真正面の「西洋館」とその後ろにつづく「大広間」が建てられたという。今から100年以上昔の話だ。
入園料を払えば、大広間に面する日本庭園「松濤園(しょうとうえん)」や「立花家史料館」を見学することもできる、柳川の観光スポットのひとつだ。ただこの日は、披露宴で使用されていたため、大広間は見学できず。気を取り直して、松濤館1階にある「集景亭ダイニング」でランチ。
せっかくなので奮発して、「特上セイロ蒸し 4,000円(税サ込 4,752円)」を注文。うなぎのせいろ蒸しとは、タレを絡めて味付けしたご飯をせいろに詰め、うなぎの蒲焼きと錦糸玉子をのせて蒸したもの。蒸すことで、うなぎの旨みがご飯にも染み込み、香ばしくふんわりとした食感を楽しめる。
うなぎと言えば、すっかり夏のイメージが強くなってしまったが、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は、夏に売れないうなぎをなんとか売ろうと平賀源内が考案したものだと言われている。実際、うなぎの旬は冬だ。寒い時期を乗り越えようと脂をたくさん蓄えるため、冬のうなぎは脂がのっていて、身もやわらかい。ということで、「こたつ舟」+「旬のうなぎ」が楽しめる冬の時期は、柳川観光にぴったりのシーズンだと言えるだろう。
掘割沿いを街歩き
お腹いっぱいになったら、御花の近くの掘割沿いを街歩き。少し歩くと、北原白秋の生家・記念館があったり、川沿いには土産店やカフェもある。敢えて言えば、このあたりのお店がもっと充実すれば、柳川観光の魅力がさらにぐっと上がる気もする。
からたち文人の足湯
掘割沿いを御花の裏手に周り、少し進むと突如現れる「からたち文人の足湯」。
北原白秋など柳川にゆかりのある文人たちを紹介するパネル展示もあり。文人たちに思いを馳せながら、足の疲れを癒やし、ぽかぽか温まる。
「椛島氷菓」で昔ながらのアイスキャンディー
体が温まったところで、今度は冷たいものを少し。カバ印のアイスキャンディーが有名な「椛島氷菓(かばしまひょうか)」へ。柳川観光と言えば川下りとうなぎがあまりにも有名だが、柳川に来たらここも外せない。
一見、普通の一軒家にも見える玄関を恐る恐る開けると、そこは可愛らしいアイス屋さん。
種類豊富なアイスキャンディー。定番の味から、ちょっと想像できないような変わり種まで。迷う!
一度玄関を出て、縁側に回ると、中がイートインスペースになっている。綺麗なさげもん(柳川の吊るし飾り)とその下に並べられたカバの置き物がなんとも可愛らしい。
購入したのは、左から「あまおう」「マンゴー」「ミルク」。昔ながらの製法で一本一本手作りしているというカバ印のアイスキャンディー。どれも濃厚で美味しく、それでいて甘すぎない。素材そのものの味を感じる、ほんのりとした甘さだ。自社農園で育てているという濃厚なマンゴーもオススメだが、個人的には、ミルクの昔懐かしい味が一押し。
MAP
今回は、「初めての柳川観光」ということで、定番の外せないスポットを回るモデルコースを紹介した。それぞれの場所は下のMAPを参照。