こころ躍る、春。満開の桜はいとも簡単に人の気分をパッと明るくしてくれる。福岡の桜の名所として名高い「西公園」。ソメイヨシノを中心に、ヨウコウザクラやヤマザクラなど約1,300本の桜が咲き誇る。最近ではすぐ近くの舞鶴公園にばかり目が行きがちだが、福岡県内で“日本さくら名所100選”に選ばれているのは唯一、西公園だけだ。とても広い公園なので、花見客に人気の場所や見所は事前にチェックしておきたい。(撮影日:2018年3月28日)
参道に並ぶ露店
地下鉄「大濠公園駅」から10分ほど歩くと、西公園の参道にさしかかる。まっすぐ伸びる参道沿いには美しい桜と露店が立ち並び、賑やかなお祭りムードが漂う。普段は車道だが、お花見期間中は13時から翌朝8時まで歩行者天国となる。
定番の焼鳥やたこ焼き、いか焼きをはじめ、綿菓子が梅ヶ枝餅まで放生会に似たラインナップ。お弁当などを持参する人が多いだろうが、手ぶらで来ても食べ物には困らない。
緩やかな上り坂が続くが、咲き誇る桜を見上げながらのんびり歩けば気分もいい。
(みどころ1)光雲神社前の階段
坂を登りきると光雲神社前の階段にたどり着く。ここが最初の見所だ。階段沿いに並ぶ大きな桜の木に思わず息を呑む。この辺りで場所取りをすれば、露店も近くて便利だろう。
階段を上り振り返ると、左右の大きな桜の真ん中に、参道がまっすぐと伸び、その先には背の高いビルが顔を出す。西公園内随一の撮影スポットだ。多くの花見客がしきりにシャッターを切る。
見上げれば、ほのかにピンク色の桜の花が、やさしい春風に揺られている。都会の喧騒は遥か遠くに聞こえ、春の光に心を奪われる。
階段の上にあるのは光雲(てるも)神社。福岡藩の藩祖黒田如水と初代藩主黒田長政を祀る。
本殿に向かって右手に進むと「東側展望広場」がある。ここにはテーブルとイスもあるので、シートが無い場合は重宝する。
ということで、屋台で買ったはしまきをペロリ。
(みどころ2)さくら谷
「さくら谷」は、西公園内で最も桜の木が密集しているエリア。露店からは少し離れてしまうが、桜の木に囲まれながらのんびりするにはうってつけの場所だ。
芝生の上にレジャーシートを広げ、大の字になって桜を見上げる。周りは360度自然に囲まれ、まさかここが福岡市の中央区だとは思えないだろう。
ソメイヨシノの横に咲いている濃いピンクの桜はヨウコウザクラだ。ソメイヨシノより少し開花時期が早いため既に散り始めている。その色のコントラスト、そしてこれから見頃を迎えるソメイヨシノと散りゆくヨウコウザクラのコントラストは、艶やかさの中に儚さがにじみ、なんとも美しい。
(みどころ3)中央展望広場
3つ目の見所は、さくら谷からさらに奥に進んだところにある「中央展望広場」。
前述の2箇所に比べると桜の数は少ないが、目の前が開けていて、博多湾や志賀島を一望できる気持ちのいい場所だ。
遊具のある多目的広場
中央展望広場から少し下ると遊具のある多目的広場がある。
ここには桜がほとんどないのが残念だが、花見に飽きてきた子供たちを遊ばせるにはちょうどいい。
西公園さくらソフトでインスタ映え
今年は、昼間に歩き回ると少し汗ばむほど温かい。そんな時は、露店で「西公園さくらソフト」を。写真は、さくらソフトと北海道生乳ミルクのMIX。花見で最高に映える桜色のソフトクリーム。
幻想的な桜のライトアップ
夜になると、雰囲気がガラリと変わり、夜桜を楽しむ花見客で賑わう。花見期間中、18時から22時まで光雲神社前階段とさくら谷の2箇所でライトアップが行われる。
(2018年は3月23日から4月9日まで)
特に光雲神社前階段のライトアップは圧巻だ。真っ暗な夜空を背景に、大きな桜の木がピンク色に浮かび上がり、昼間とは全く違った表情を見せてくれる。
ライトアップされたピンクの桜と外灯に照らされた白い桜のコントラスが美しく、その向こう側には市内の夜景が広がる。
さくら谷もライトアップされ、少し大人な雰囲気。昼間は暖かくても、夜は冷え込むので防寒対策は忘れずに。
注意事項
花見期間中は13時から翌朝8時まで車両が進入不可。車を駐車場に止めることもできないので注意が必要だ。また、バーベキューなど火気の使用とカラオケは禁止されている。トイレは園内各所に大きめのキレイなトイレがある。公式HPでは、随時開花状況をアップしているので事前にチェックしておこう。