見どころは? 大改修を終えグランドオープンした「門司港駅」

グランドオープンした門司港駅

2019年3月10日、約6年間の保存修理工事を終え、門司港駅の駅舎がグランドオープンした。まだ現地を訪れていない人のために、その見どころを紹介したい。

100年前の姿に復原

大正時代の姿に復元された門司港駅

1914年(大正3年)に創建された門司港駅。1988年(昭和63年)には、鉄道駅として日本で初めて重要文化財に指定された。重要文化財に指定され、今もなお現役の駅舎は「東京駅」とこの「門司港駅」の2つだけだ。それほど歴史的な価値は高い。

約6年間かかった工事は、新しく生まれ変わるためのものではなく、大正3年の創建当時の姿へと復原するためのものだった。改修前には薄いピンク色のペンキが塗られていた外壁は、⽯貼り⾵の⽬地を設けたモルタル塗りに改修。昭和4年に車寄せのために設置された正面の大きなひさしは、今回きれいに取り除かれ、100年前の風格のある姿が露わになった。

門司港駅の大時計

ちなみに、門司港駅のシンボルでもある「大時計」は、竣工当初、設置されていなかったという。調べてみると、大正7年1月20日付けの福岡日日新聞に、国内で五番目、九州ではじめて設置された電気時計との記述が見つかったそうで、その後2度ほど取り替えられているが、現在は大正7年に設置された当時の文字盤に復原されている。

旧三等待合室はスターバックスに

門司港駅コンコース

駅の中に入ると、まるで大正時代にタイムスリップしたかのような雰囲気だ。白い漆喰壁、淡い黄色に塗装された天井と腰壁。大正時代の内観が復原されている。

旧一・二等待合室

当時の鉄道車両は、一等から三等までの等級にわかれていた。そのうち一等および二等の車両に乗車する人たちが使用していたのが、上の写真の「旧一・二等待合室」だ。現在はみどりの窓口・観光案内所として使用されている。

スターバックス コーヒー 門司港駅店

そして、「旧三等待合室」にはスターバックスが登場。カウンター横の壁には、列車のヘッドマークを用いたスターバックスの歴代ロゴマークが飾られていたり、テーブルの足元や天井の鉄骨には、鉄道レールが再利用されていたりと、スタバファンだけでなく鉄道ファンも必見のニュースポットだ。

2階にはレストランも

2階へ上がる階段

構内の階段から2階へ上がってみる。

門司港駅の屋根裏

現在の外観からすると意外にも思えるが、門司港駅の駅舎は木造建築だ。2階の通路の奥にある窓から、木で組まれた屋根裏を覗くことができる。

旧貴賓室

こちらは、華やかな内装が復原された「旧貴賓室」。身分の高い人をもてなしていた部屋だ。現在は、2階に復原された洋食レストラン『みかど食堂 by NARISAWA』の特別な個室として利用されている。

平成も終わりを告げようとしている2019年の春、ここ門司港では、見事に大正ロマンが甦っていた。長く続いた保存修理工事。100年前の姿を取り戻した門司港駅は、「門司港レトロ」の古くて新しいシンボルとして、次の100年を刻もうとしている。

旧次室
旧次室からの長め
門司港駅ホーム

TEXT・PHOTO:山下侑一郎

大正時代の姿に復元された門司港駅

門司港駅

福岡県北九州市門司区西海岸1丁目5-31

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