唐津の観光地といえば、真っ先に「呼子」を思い浮かべる人も多いだろう。確かに呼子は魅力的な観光地だ。しかし、呼子だけで唐津を知った気になるのはあまりに惜しい。唐津には、他にも多くのおすすめスポットが存在するからだ。そこで、今回は敢えて呼子までは行かず、唐津の市街地を中心におすすめスポットを紹介したい。
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唐津の中心市街地へは、福岡市内中心部から車でわずか1時間。糸島の向こうということで遠く感じがちだが、実は気軽に日帰りできる距離だ。本記事は、上から順番に回ることで、そのまま “おすすめの日帰りモデルコース” になるように構成している。ぜひ参考にしていただきたい。
もくじ
約100mの落差を誇る「見帰りの滝」
まず最初に向かうのは、市街地から少し離れたところにある「見帰りの滝」。日本の滝百選にも選ばれた観光スポットで、特に6月には約4万株のアジサイが彩りを添え、多くの観光客で賑わう。
見帰りの滝の見どころは、“九州一” とも言われるその落差だ。深緑の中、約100mの落差を豪快に流れ落ちる様は圧巻。滝の周りは夏でも涼しく、水に触れると冷たくて気持ちがいい。
アジサイの時期でなければ、滝のすぐそばまで車で行くことができるが、約500m手前から設置された遊歩道もおすすめだ。すぐ隣を流れる川のせせらぎを聞きながら、木陰の山道を登る約15分のハイキング。秋には紅葉も楽しめる。
ただし、旅はまだ始まったばかり。唐津城でも階段を登ることになるので、体力に自信がない人は無難に車で上っておこう。
虹の松原でご当地「からつバーガー」
日本三大松原のひとつに数えられる景勝地「虹の松原」。全長約4.5kmの松林の中に、突如現れる1台のバスと人だかり。唐津のご当地バーガーとして人気の「からつバーガー」だ。お昼どきには、吸い込まれるように次から次へと車が入ってくる。
人気メニューは、ビーフパティにチーズ、ハム、たまごが入った『スペシャルバーガー(490円)』。外側がカリッとしたバンズに、甘めのソース、スパイシーな味付けが食欲をそそり、クセになる美味しさ。
バーガーと一緒に『ポテト(300円)』と『ミルク(220円)』を注文。ミルクと言っても、ただの牛乳ではない。エバミルク(無糖練乳)と生クリームを混ぜて作った特製ミルクで、どこか懐かしさを感じる甘さが人気。からつバーガーの隠れた名物になっている。
天守閣がリニューアルした「唐津城」
初めて唐津を観光するなら、『唐津城』は外せない。遠くから見てもひときわ存在感を放つ、唐津のシンボル的な観光スポットだ。城を中心として東西に伸びる松原が翼を広げた鶴のように見えることから、別名『舞鶴城』とも呼ばれる。
唐津城の天守閣は2017年のリニューアルオープンにより展示スペースが充実。唐津焼や甲冑・刀などの貴重な歴史資料が展示されている。入場料は一般500円、小中学生250円。
唐津城の天守閣に行くには、唐津城登城口から道路をはさんで向かい側にある「東城内駐車場(有料)」に車を停め、地下道を通り、石段を200段以上のぼる必要がある。石段の代わりに、片道100円(小中学生は50円)のエレベーターを使うという選択肢も。天守閣の中でも、5階の展望フロアまで階段を上ることになるので、体力に自信がない人はエレベーターを活用しよう。
天守閣5階の展望フロアは、東西南北を見渡せるパノラマビュー。四方の扉が開いているので、気持ちいい風が吹き抜ける。北側正面に見えるのは、宝くじのパワースポットとして評判の「宝当神社」がある高島だ。
唐津の街を見下ろしながら、殿様気分を味わってみてはいかがだろうか。ちなみに築城当初、唐津城に天守閣はなかった。1966年に“観光施設”として天守閣を建てたというのは、覚えておきたいウンチクだ。
「たまご色のケーキ屋さん」で夢かき氷
小腹が空いてきたところで、みのり農場という唐津の養鶏場が運営する「たまご色のケーキ屋さん」へ。看板がなかったら見落としてしまいそうな、住宅街の一軒家。ここでは、自慢の卵をはじめ、素材にこだわった体にやさしいスイーツを販売している。畳と縁側のイートインスペースも有り。
人気の『プレミアムロールケーキ(カット・350円)』。しっとりとした生地は弾力があり、卵の風味が漂う。生クリームは甘さ控えめ。主役の生地を邪魔せず、しっかりと引き立てている。
そして、注目はコレ! 夏季限定の『夢かき氷(1,080円)』。今回の唐津旅の主目的と言ってもいいだろう。
甘いアングレーズソース(カスタードソース)が染みたフワフワ氷の上に、生のフルーツから手作りした5種類のシロップがかかっている。この日のシロップは、プラム、デコポン、パイナップル、イチゴ、キウイフルーツ。どれもフルーツ本来の甘さがしっかりと感じられ、アングレーズソースとまぜて食べるとさらに美味しい。一度に5種類の味が堪能できるなんて、まさに “夢のようなかき氷” だ。
美味しいだけでなく、インスタ映え間違いなしの美しいビジュアル。これを目当てに唐津までやってくる人も多いだろう。ちなみに、かき氷が食べられるのは12時から17時まで。今年は、6月末に始まり、9月中旬か下旬ごろまでの提供を予定しているとのこと。予約可能なので、予約してから行くのがおすすめだ。
虹の松原を見下ろす「鏡山展望台」
スイーツの次は絶景だ。たまご色のケーキ屋さんから車で10分ちょっと。クネクネとカーブの多い山道を登り「鏡山公園」へ。目指すは、公園の中にある「鏡山展望台」だ。公園の駐車場から少し歩くと展望台に到着。眼下に広がるのは、唐津湾と虹の松原。展望台の下に設置された展望テラスは、先頭に立つと空を飛んでいるような気分。高所恐怖症の人にはおすすめできない高さだ。
虹の松原の先には、さっき訪れた唐津城。ここからだと唐津城も小さく見え、民家や車はミニチュアのおもちゃのようだ。時折走る筑肥線の電車もプラレールのようで可愛らしい。
観光地の展望台と言うと、どこかひっそりとした場所にあるイメージだが、この鏡山公園には売店やカフェもあり、駐車場も広い。春には桜やつつじの名所としても賑わうスポットだ。
ちなみに、Google Mapで「鏡山展望台」と設定すると登山道を案内されてしまうので、展望台ではなく「鏡山公園」で設定しよう。
お土産に「愛しとーと♡」のもっちりーネ
鏡山を下ってすぐのところにある、コラーゲンバイキングレストラン「愛しとーと♡」。コラーゲン入り料理が食べ放題のランチも人気だが、今回はレストランに併設された「おみやげ屋」へ。
ここで販売している豆乳入りのコラーゲンパン「もっちりーネ」は、驚くほどモチモチしていて、一度食べると虜。噛むほどに素材の風味が口の中に広がる。
味の種類も豊富で、紫いも、よもぎ、コーン、チーズ、黒ごま、くるみ、抹茶など全12種類。個包装なので、お土産として持ち帰るのに最適だ。冷凍すれば約3週間保存できる。たくさん買ってお気に入りの味を見つけてみよう。
唐津湾を一望!
「汐湯 凪の音」の大展望風呂
旅の締めくくりは、「唐津 網元の宿 汐湯 凪の音(なぎのと)」の大展望風呂。唐津湾に臨む絶好のロケーションに加え、「汐湯」という海水を汲み上げて沸かした、全国でも珍しいお湯を楽しめる。入浴料は大人900円、小人500円。
大展望風呂に出ると、眼の前に広がるのは “日本百景” にも選ばれた唐津湾の絶景。筑肥線を走る電車も見え、抜群の開放感だ。波の音に耳を傾ければ、まるで海に浸っているかのよう。「海水」といっても、ろ過されているのでベタベタすることはない。なめらかなお湯が体を芯から温め、旅の疲れをやさしく癒やしてくれた。
MAP
唐津城からスイーツ、絶景まで、なにかと見どころの多い唐津市街地。呼子と糸島という人気観光地が両隣にあるせいで、これまでは見落としてしまっていた人もいるかもしれない。この記事を読んで興味を持ってくれた人は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。できれば、「夢かき氷」の提供期間が終わる前に。
[文・写真]山下侑一郎
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