福岡県小郡市にある「清影山 如意輪寺」。境内には5,000点以上のカエルの石像や置物があり、通称“かえる寺”として親しまれている。さらに、6月〜9月に開催される「風鈴まつり」では、数千個の風鈴が飾られ、美しい音色を奏でる。
想像をはるかに超える“カエル寺”
福岡市内中心部から高速道路を使って40分ほどの小郡市「如意輪寺(にょいりんじ)」。カエルだらけのお寺があるというのは知っていたが、実際に行ってみると、想像以上の数に驚いた。
ところ狭しとカエルの石像が飾られている如意輪寺の境内。何体あるか数えようとしたが、数分で諦めてしまうほど、多くのカエルが次々に顔を出す。その姿は、リアルなものからキャラクターのようなものまで、大小さまざま。本物のカエルが苦手な人でも、その愛くるしさに心が癒やされるだろう。
さらに、本堂横の「かえる部屋」へ進むと、思わず声が出た。そこには、5,000匹以上のカエルの置物やおもちゃがずらりと並べられていた。ご住職が中国を訪れた際に、小さなカエルの置物を買って帰ったのがコレクションの始まりで、そこからここまで増え続けて来たそうだ。
カエルの口をくぐると…
境内に2体ある「くぐりかえる」。カエルの口をくぐると、悪いことを良いことに“変える”ことができるという。子供なら楽々くぐり抜けられるが、大人だと体格によっては至難の技だ。ぜひチャレンジしてみよう!
1,200年以上の歴史あるお寺
如意輪寺が創建されたのは、奈良時代の最盛期にあたる、天平元年(729年)。とても歴史が深く、由緒あるお寺だ。
本堂はオープンにされているので、靴を脱いで上がり、中の如意輪観音像を拝むことができる。通常、如意輪観音は座っている姿が一般的だが、こちらの如意輪観音像は珍しい立像だ。これとは別に、木を削って作られた木造の如意輪観音立像もあるが、そちらは12年に一度の御開帳のときにだけ拝むことができ、福岡県の文化財に指定されている。
恋愛や学業成就のご利益も
どうしてもカエルに目を奪われがちだが、境内には、恋愛成就の「愛染明王」や学業成就の「文殊菩薩」などもあり、さまざまなご利益がいただける。
こちらは、観音さまに抱きついてお祈りする「抱きつき観音」。観音さまに心を委ねてお祈りすれば、悩み解消、ストレス解消のご利益があるという。
また、如意輪寺では現在、多くの人々の幸せを願う「多宝塔」を新築工事中。完成すれば、また新たなシンボルになりそうだ。
フォトジェニックな風鈴まつり
如意輪寺を訪れるなら、6月から9月にかけて実施される「風鈴まつり」の時期がおすすめだ。普段ならカエルの数に圧倒されるが、このときばかりは、美しい音を奏でる風鈴に目を奪われる。無数の風鈴に覆われたアーチは、カラフルな短冊がゆらゆらと揺れ、幻想的でフォトジェニックな空間。風鈴は1個500円で販売しており、願い事を書いて奉納することができる。(風鈴の持ち帰りは不可)
夏の暑さも忘れさせてくれる風鈴の音色。このときは、まだ2,000個ほどだったが、これから5,000個ほどまで増える予定だそうだ。ぜひこの時期に、一度訪れてみてほしい。気持ちを新たに、そして人生を豊かに、“変える”ことができるかもしれない。
如意輪寺の駐車場と周辺情報
如意輪寺には、西側と東側にそれぞれ無料の駐車場がある。西側の駐車場は「仲良し駐車場」という呼ばれていて、塩パンとメロンパンが絶品のパン屋さん「パンネスト」、木陰のテラス席が素敵なパティスリー「レーブ・ド・ベベ」、いつも行列のらーめん店「麺屋 我ガ」との共同駐車場だ。どのお店も人気店なので、かえる寺に行くなら要チェックだ。
TEXT・PHOTO:山下侑一郎