糸島の二見ヶ浦にある「夫婦岩」。その大きな2つの岩の間に、綺麗な夕日が沈む。毎年夏至の頃だけに見ることができる神秘的な光景だ。梅雨の晴れ間に見せたその美しい景観を、写真とともに紹介したい。
［撮影日：2018年6月21日（夏至）］
二見ヶ浦に佇む夫婦岩と白い鳥居
糸島市志摩桜井の海岸「二見ヶ浦（ふたみがうら）」。「桜井二見ヶ浦」、「筑前二見ヶ浦」とも呼ばれる。海岸沿いにオシャレなカフェが立ち並ぶ、言わずと知れた糸島の人気スポットだ。「日本の渚100選」、「日本の夕陽100選」にも選ばれている。
二見ヶ浦のシンボルともいえるのが白い鳥居とその奥に海面から顔を出す「夫婦岩（めおといわ）」だ。2つの岩は、長さ30mほどの大注連縄（おおしめなわ）で繋がれている。
夫婦岩は、近くにある櫻井神社のもので、仲良く並び、しっかりと結ばれたその姿から、“縁結び” や “夫婦円満” を祈願するパワースポットになっている。
夏至の二見ヶ浦
日頃から綺麗な夕日が楽しめる二見ヶ浦だが、特に夏至の頃には、夫婦岩の間に夕日が沈むため、その光景をカメラに収めようと多くのカメラ愛好家たちが集まる。
2018年の夏至の日。夫婦岩を目がけて、徐々に太陽が落ちてくる。“夫婦岩の間に沈む” と書いたが、もちろん見る角度によってそれは異なる。「夏至のころには、角度によって夫婦岩の間に夕日が沈むように見える」と言ったほうが正確だろう。つまり、いい写真を撮りたければ場所取りが重要だ。斜めに降りてくる太陽の角度を計算するか、ベテランカメラマンの近くに位置取るのがいいだろう。
角度を大きく変えれば、夫婦岩と鳥居の間に夕日が沈むようにも見える。これもまたこれで、美しい光景だ。
いよいよ日が沈む時間。この日は地平線付近に雲があるため、日没の瞬間まで見ることはできなかった。それでも、夫婦岩の後ろから赤く染める夕日は、なんとも神秘的で一見の価値がある。
美しさと儚さを漂わせながら、静かに沈みゆく太陽。若者たちでにぎわう昼間の二見ヶ浦とはまた違った一面を見ることができた。梅雨の晴れ間に心から感謝したい。
▲夫婦岩のてっぺんから夕日を眺める鳥
「夫婦岩」に昇り、「夫婦岩」に沈む
最後にちょっとしたトリビアだが、三重県伊勢市にも「夫婦岩」と呼ばれる岩があるのをご存知だろうか。なんと、伊勢の夫婦岩ではこの時季、2つの岩の間から朝日が昇るそうだ。夏至の頃、太陽は「夫婦岩」に昇り、「夫婦岩」に沈む。なんとも運命的なつながりを感じずにはいられない。
そんなトリビアとカメラを引っさげて、この時季だけの絶景を眺めに行ってみてはいかがだろうか。
［文・写真］山下侑一郎