紅葉の名所として知られる田川郡添田町の「英彦山(ひこさん)」。登山家たちに人気の山ではあるが、登山をせずとも十分に楽しめる。今回は、特に紅葉の時期におすすめのスポットを紹介したい。(撮影日:2018年11月3日)
もくじ
紅葉を満喫する観光コース
「英彦山」までは、福岡市内中心部から車でおよそ1時間半。田川郡添田町は大分県との県境に位置し、英彦山は福岡と大分にまたがっている。
今回紹介するスポットは以下の4箇所だ。
・英彦山神宮とスロープカー
↓ 車3分
・花見ヶ岩公園
↓ 車7分
・高住神社
↓ 車15分
・英彦山大権現
まずは「幸駅」そばの駐車場へ
英彦山観光を始めるには、まず英彦山スロープカーの始発駅である「幸駅」へ。幸駅のそばに3つの無料駐車場があるので、そこに駐車し、中腹の「英彦山神宮奉幣殿(ひこさんじんぐうほうへいでん)」を目指す。
行き方は、「スロープカー」か「徒歩」の2択だ。スロープカーなら15分、徒歩なら参道をおよそ30分。勾配のある坂道と階段で、運動不足の人にはちょっとしんどいかもしれない。今回はせっかくなので、徒歩で登り、スロープカーで下ることにした。
ちなみに、駐車場は途中の「花駅」にもあり。
「銅鳥居」から参道を登る
最初の見どころは、幸駅のすぐそばにある「銅鳥居(かねのとりい)」。国指定重要文化財に指定されている青銅製の大鳥居で、高さは約7m。「英彦山」という額は、1734年に霊元法皇より贈られたもので、このときから「彦山」は「英彦山」と表記するようになったそうだ。
ここから英彦山神宮奉幣殿まで参道が続く。
かつて「山伏(やまぶし:山野に寝起きして修行する僧)」の修行場として繁栄した英彦山。この参道では、当時山伏が生活をしていた坊舎跡を見ることができる。英彦山神宮奉幣殿までは徒歩でおよそ30分。石段の参道は凸凹していて勾配もあるため、歩きやすい靴がおすすめだ。
参道を登ってしばらくすると、2軒の土産店にたどり着く。ずいぶん登ったような気がするが、時間にするとここがほぼ中間地点。この先にまだ、段差の大きな石段が300段以上続く。
雪舟が築いた「旧亀石坊庭園」
土産店から少し登ったところを左手にそれると、有名な画僧・雪舟(せっしゅう)が築いたとされる「旧亀石坊庭園」を見学できる。当時この辺りで雪舟が築いた3つの庭園のうち、現存するのはここだけ。国指定の名勝にもなっている。
紅葉がよく似合う美しい庭園。私有地ではあるが、所有者のご厚意で一般公開されている。
心が癒やされところで、残りの石段を一気に登ってしまおう。
「英彦山神宮奉幣殿」にご参拝
「英彦山神宮奉幣殿」に到着。残念ながら現在社殿は塗り替え工事中(2018年11月3日現在)。この鳥居から先は登山コースになっていて、最も短いコースでも往復約3時間(奉幣殿から上宮のある中岳までの往復)。紅葉狩りのついでに軽いハイキング気分で登れるものではないのでご用心。
奉幣殿の前には休憩スペースがあり、お守りやぜんざいなどを販売している。
スロープカーから紅葉を堪能
帰りは、「英彦山スロープカー」で絶景を堪能しながら優雅に下る。特にこの時期は、眼下に広がる山々の紅葉を楽しめるのでおすすめだ。
奉幣殿そばの「神駅」から一番下の「幸駅」まで、片道で高校生以上が520円、4歳〜中学生が300円。往復は高校生以上が830円、4歳〜中学生が400円。
前方に見える白い建物が途中駅の「花駅」。ここで一旦乗り換えが必要になる。この花駅は、旧英彦山小学校の校舎で、現在は、1階に食堂、土産店、昆虫展示室があり、2階は山伏文化財室になっている。
穴場の絶景「花見ヶ岩公園」
英彦山に行ったら、必ず立ち寄ってほしい穴場スポット「花見ヶ岩公園」。幸駅から車で3分ほど移動し、「別所駐車場」という無料駐車場に車を停める。
「花見ヶ岩公園」の入り口は、別所駐車場から道を挟んだ向かい側。少しわかりづらいが、「HIKONIWA」という案内所と公衆トイレの間あたりだと覚えておこう。ちなみに「公園」と行っても遊具や広場があるわけではなく、どちらかといえば「展望所」だ。
入り口から1〜2分登れば、この息を呑む絶景。入り口がわかりづらいからか、観光客も少なく、美しい眺望を独り占めすることができる。
周りに視界を遮るものがなく、360度のパノラマビュー。1〜2分しか登っていないのに、1時間以上の登山でもしたかのような気分を味わえる。ただし、足元は少し不安定なので要注意。
ひとつだけ設置されたテーブルは、まさに「特等席」だ。
荘厳な雰囲気の「高住神社」
花見ヶ岩公園から車でさらに7分ほど登って「高住神社」へ。
駐車場には真っ赤に紅葉したモミジ。英彦山神宮より紅葉が進んでいるようだ。
高住神社は、厳かな雰囲気がたまらないパワースポット。石段の先には、樹齢約850年〜900年の御神木「天狗杉」がそびえ立つ。
農業や牛馬安全の神として古くから崇められていたそうで、象徴的な「牛」の像が飾られている。
「英彦山大権現」の紅葉は必見
知らないと見落とされがちだが、英彦山に行くなら「英彦山大権現(だいごんげん)」の紅葉は必見だ。高住神社からは車で約15分、幸駅からなら約3分。「英彦山温泉しゃくなげ荘」のすぐそばにある。
英彦山大権現はとても広いため、今回は駐車場から近い見どころに絞って紹介したい。
まずは、第一駐車場から入ってすぐのところにある庭園。「えっ、ここ無料で入っていいの?」と思うほど、手入れが行き届いた庭園で、赤や黄に色づいた紅葉も美しい。
庭園内の木々だけでなく、その向こうに続く山の紅葉まで同時に望むことができる。
庭園の上にある「一願成就の鐘」。願いごとをひとつ心に決めて、鐘を一度だけつくと、ゴーンという重い音が辺りに響く。他ではあまり体験できない祈願の形に、なんだか願いが叶いそうな気分になってくる。
今度は、第四駐車場へ移動。こちらも紅葉がきれいだ。
駐車場から歩いてすぐのところにある「英彦山不動明王」。まるで背中の炎がモミジに燃え移ったかのように見える。
英彦山大権現の参拝時間は9:30〜16:30。駐車場はあくまで参拝者用のため、登山客の駐車は不可。
英彦山の紅葉の見頃
英彦山の紅葉は福岡県内でも比較的早く、例年10月下旬頃から色づき始め、11月上旬から下旬頃が見頃となっている。
ドライブがてら足を伸ばしてみてはいかがだろうか。
[文・写真]山下侑一郎
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