こんなに綺麗だとは思わなかった……。初夏の風物詩として知られる「ホタル」。しかし、無数のホタルが幻想的に舞うその姿を、実際には見たことがないという人も多いのではないだろうか。福津市にあるホタルの名所「ほたるの里(本木川自然公園)」。ここなら、整備された環境の中、子供連れでも安心してホタル観賞ができる。ジメジメと蒸し暑くなるこの季節も、ホタル観賞という楽しみができれば、毎年待ちわびることになりそうだ。(撮影日:2018年5月27日)
自然豊かな「ほたるの里」
ホタルが飛び始めるのは日没の19時半頃からだが、ほたるの里には少し早めに到着。福岡市内中心部からでも、車で40〜50分の距離だ。緑豊かな自然に囲まれた公園で、入口付近では鯉の餌やりもできる。
公園の中腹には、「太陽の丘」という芝生広場がある。遊具はターザンロープしかないが、広々とした空間は、空気もきれいで気持ちがいい。耳を澄ませば、ウグイスや小鳥のさえずりが聞こえてくる。
ホタル観賞のピークは、19時半頃から20時過ぎ頃まで。そうなると、小さな子供連れの場合、夕食をとるタイミングが難しい。であれば、お弁当とレジャーシートを持参して、ホタル観賞前に公園で食べるというのはいかがだろうか。夜の公園で食べるお弁当というのも、ちょっとした非日常感があり、オツだったりする。
暗くなる前に観賞スポットを下見
ほたるの里の敷地は縦に細長く、その真ん中を本木川が縦断している。ホタルはこの川に沿って出現するので、暗くなる前に一度下見をしておこう。太陽の丘の近くは、川沿いが階段状になっていて、腰をかけられる。この辺りにもホタルは多く出現するので、まずはここでホタルが出始めるのを待つのがいいだろう。
上流側は、天気によって足元が少しぬかるむところがあるので要注意。夜になると、近くの民家の明かりが少し気になるところもあった。
下流側にもホタルがたくさん出現する。川沿いにくだっていくと、駐車場につながる階段がある。明るいうちに確認しておくと安心だ。
川沿いの歩道には、所々にこのようなタイルが埋められていて、ゲンジボタルが幼虫からサナギになり、成虫になるまでの過程が描かれている。
カメラの下準備も忘れずに
一眼レフやミラーレスでホタルを撮影したい人は、暗くなる前に下準備をしておこう。撮影モードをマニュアルにし、絞りは開放(F値を一番小さく)、シャッタースピードは撮影しながら調整できるようにしておく。フラッシュはもちろんNG。暗くなるとオートフォーカスが効きにくくなるので、マニュアルフォーカスに切り替え、できれば明るいうちにピントを合わせておこう。三脚もあったほうがいいだろう。
幻想的なホタルの乱舞
19時を過ぎると、まだ少し明るい中、1匹のホタルが光り始めた。それを誰かが見つけて声を上げると、皆がいっせいに注目。どこどこ?とキョロキョロしているうちに、また一匹、また一匹と、次々にホタルが出現。
ホタルたちは、不思議と息を合わせたように点滅を繰り返す。気がつけば数えきれないほどのホタルが辺りを乱舞し、あまりにも幻想的で神秘的な光景が目の前に広がる。
小さな体なのに、どうやってこんなにも強く美しい光を放つことができるのだろうか。ホタルが光ることは誰もが知っているが、光っているホタルを実際に見たことがあるかどうかで、ホタルのイメージは大きく変わるだろう。
上流から下流まで、川に沿って光り輝く無数のホタルたち。楽しげに、軽やかに。踊り、舞う。そこにはまるで、ホタルにだけ聞こえる音楽が流れているかのようだ。
ほたるの里のHPによれば、この日(5月27日)のホタル出現率は80%。5月29日時点では100%になっている。
ホタル観賞時の注意点
感動的なホタル観賞をぶち壊してしまわないように、以下のマナーは守るようにしよう。
・光を照らさない
ホタルを懐中電灯で照らしたり、フラッシュでの撮影は言語道断。スマホの明かりや、車のライトも配慮しよう。
・ホタルを持ち帰らない
ホタルの寿命はとても短い。近くまで飛んできても、捕まえて持ち帰らないように。
・自然を汚さない
ゴミを捨てたり、自然を壊したりしない。ホタルが生きる美しい自然を守ろう。
ほたるの里の駐車場
ほたるの里には、きれいに整備された駐車場があり、60台ほどが駐車可能。
[文・写真]山下侑一郎