これ博多弁? 福岡の人が標準語だと勘違いしがちな方言 12選

博多弁

ずっと標準語だと思っていた言葉が、実は博多弁だったと気づいたときの恥ずかしさたるや。福岡で生まれ育った筆者が、大学進学で初めて福岡を出たとき、「えっ、これも博多弁!?」と驚いた言葉がいくつかある。博多弁は大好きだし、博多弁自体が恥ずかしいわけではないが、博多弁を標準語だと思って県外の人と話をすると、やっぱりちょっと恥ずかしいときがある。そんなわけで、筆者の実体験をベースに、福岡の人が標準語だと勘違いしがちな博多弁を紹介したい。

 

「あーね」

「あー、なるほどね(納得)」「あー、確かにね(同意)」というような意味が基本だが、「へぇ」「ふーん」くらいの軽い相槌としても使える便利な言葉。というより、使っていると意識することさえないのかもしれない。

通じなくて困るタイプの方言ではなく、他県の人にとっても、「そういえばよく“あーね”っていうよね? 口癖?」くらいの認識だったりするので、これが方言だと気がつくチャンスは少ない。

ちなみに、近年ではその使い勝手の良さからか、「女子中高生が使う言葉」として全国区になりつつある側面もある。

 

「ちかっぱ」

「とても」という意味。知っている人からすれば当然博多弁だが、一度も福岡から出たことがない人からすると意外かもしれない。

実は筆者も、大学に進学するまで博多弁だとは知らなかった。「力いっぱい」の省略形だと考えれば、標準語だと勘違いしても不思議ではない(?)。

 

「ならね〜」

標準語なら「じゃあね〜」、関西弁なら「ほなな〜」。別れ際に使う言葉で、「なら!」と言う場合もある。まさか「ならね〜」が、「ほなな〜」の博多版だったとは……。

 

「からう」

カバンなどを「背負う」という意味。あまりにも「からう」という言い方に慣れすぎたせいか、「カバンを背負って…」や「カバンをしょって…」は言いにくくてしかたない。むしろ「からう」を標準語にするべきだとさえ思ってしまう。

 

「はわく」

ほうきなどで「はく」という意味。標準語とあまり変わらないので、使っていても指摘されたり意味が通じなかったりすることが少ない。

 

「なおす」

物を「しまう」「片付ける」という意味。西日本ではわりと通じるが、関東では「修理する」という意味に取られることが多く、「これなおしとって」とお願いすると「どこも壊れてないよ?」と返されることがある。

 

「来る」

博多弁では「今からそっちに行くね」という意味で、「今から来るけん」と言うことがある。実はこれ、英語の「come」も博多弁と同じ使い方をする。さすが国際都市(?)。

「今から来るけん!」
「えっ、誰が?」
「いや俺が!」
「どこに?」
「いやそっちに!!」
「えっ?」
「……えっ?」

 

「かたす」

「仲間に入れる」という意味。これはなかなか通じない。「ん? 片付けるってこと?」と聞かれたりする。

 

「あっている」

「(お祭りなどが)開催されている」「(TV番組などが)放送されている」などの意味。標準語で言えば「やっている」に近い。「今工事があってて…」「昨日◯◯の再放送があってて…」といったような使い方をする。使用頻度はそれほど多くないが、これが博多弁だと気がついていない人は多い。

 

 

「はらかく」

「腹を立てる」「怒る」という意味だが、筆者の印象としては「むすっとして、ふてくされる」というニュアンスに近いかもしれない。「そんな腹かかんでもよかろうもん」というような使い方をする。

 

「なるほどですね」

福岡では、「なるほど」に「ですね」をつけてしまう。そして、何かと語尾に「ですね」を連発する。他県の人もこれが方言だと知らないことが多いため、本人は一生懸命敬語を使っているつもりでも、相手によっては不快に思われたり、怪訝そうな顔をされることがあるので要注意。

 

「離合する」

「車同士が狭い道路ですれ違う」という意味。これも東日本では通じないことが多いが、福岡では方言だと知らずに使っている人が多い。それが方言だと言われても、「じゃあ標準語ではなんて言うと?」「うーん……、すれ違う?」といった感じで、あまり釈然としない。

 

 

ブラックモンブランは全国区?

ブラックモンブラン

ちなみに……。

方言の話ではないが、勘違いつながりの“あるある話”として、ブラックモンブランは全国区だと思っている福岡県民(九州人?)も多い。筆者も初めて知ったときは衝撃だったのを覚えている。

「いや、あの “ブラックモンブラン♪” っていうCM知らんと?」
「なにそれ?」
「えーーー」

[文]山下侑一郎

※記事の中では便宜上「博多弁」と表現していますが、中には「博多」だけでなく、他の地域や他県でも使用されている方言もあります。