見どころを解説! 特別展「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 @九州国立博物館

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

太宰府にある九州国立博物館で開催中の特別展「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」。筆者も含め、多くの印象派ファンが待ちわびた、福岡では久しぶりの大規模な印象派展だ。この至上の印象派展を、ファンからビキナーまで多くの人が楽しめるように、その見どころや感想を紹介したい。



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印象派は何がスゴイのか?

今から150年近く前の1874年、フランスのパリで、若い画家たちによるある展覧会が開かれた。その展覧会はとても“成功”と呼べるものではなかった。当時の美術界からは激しく批判され、風刺新聞でも批評家から嘲笑される始末。理由は、それまでの伝統技法と異なるから。それでも画家たちは諦めなかった。そう、それが今なお多くの人々に愛される「印象派」の始まりであり、この展覧会に参加していたのが、モネやルノワールといった印象派を代表する画家たちだったのだ。

聖書や神話などを描いた「歴史画」が評価されていた当時、印象派の画家たちはキャンバスを屋外に持ち出して、日常の風景を描き出した。さらに、印象派以前の絵画では筆跡を残さないことが良しとされいたが、そんな固定概念にとらわれることなく、大胆な筆遣いで光や色彩を表現した。絵の美しさもさることながら、この絵画史における大きな変革こそが多くのファンを魅了する理由かもしれない。

 

日本で見られる最後のチャンス?

まえがきが長くなってしまったが、今回の「至上の印象派展」に登場する画家は、マネ、ルノワール、モネ、ピサロ、シスレー、セザンヌ、ファン・ゴッホ、ゴーギャンなど錚々たる顔ぶれ。そして何より驚きなのが、これら展示される64点の作品全て、エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890〜1956年)という一人のコレクターが集めたものだということ。その約半数は日本初公開の作品だ。ビュールレの全コレクションは、2020年にチューリヒ美術館に移管されることになっており、コレクションの全貌が日本で見られるのはこれが最後の機会とも言われている。ぜひこの機会に、九州国立博物館に足を運んでもらいたい。
エミール・ゲオルク・ビュールレ、1950年頃

エミール・ゲオルク・ビュールレ、1950年頃
Photo: Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)

 

必見1.絵画史上、最も有名な少女像

イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》
1880年 油彩、カンヴァス 65×54cm
©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)
Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

今回、ポスターにも使用されているルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》 。絵画史上、最も有名な少女像ともいわれる、ルノワールの「最高傑作」。教科書など、どこかで見覚えがあるという人も多いだろう。よく見ると、所々タッチが異なることがわかる。印象派らしいタッチで描かれた背景と衣装に、繊細に筆を重ねられたきれいな髪。そして、丁寧に描かれた白く透き通った少女の顔。その瞳に引き込まれそうになる。

 

必見2.日本初公開!幅4.25mの睡蓮

クロード・モネ 《睡蓮の池、緑の反映》

クロード・モネ 《睡蓮の池、緑の反映》
1920-26年 油彩、カンヴァス 200×425cm
©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)
Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

今回一番楽しみにしていたのが、クロード・モネの《睡蓮の池、緑の反映》だ。1883年、ジヴェルニーに移り住んだモネは、自宅の敷地内に睡蓮の池を作り、何度も絵のモチーフにした。モネの睡蓮はこれまでに幾つも見たことがあるが、この作品はもちろん初めて。日本初公開どころか、これまでスイス国外には一度も出たことがなかったという。高さ2メートル×幅4.25メートルの睡蓮は、目の前に立つと圧巻。この特別展の最後を締めくくるのにふさわしい大作だ。

 

必見3.天才ゴッホの変遷

フィンセント・ファン・ゴッホ 《日没を背に種まく人》

フィンセント・ファン・ゴッホ 《日没を背に種まく人》
1888年 油彩、カンヴァス 73×92cm
©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)
Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

もう一つ注目したのが、ポスト印象派の代表的画家ファン・ゴッホの6作品だ。わずか6年の間に描かれた作品だが、それらを見ると、ゴッホが歩んだ変遷がうまく凝縮されているように感じる。印象派の画家たちと出会い、明るい色の絵を描き始めたゴッホが、新印象派の点描画、そして浮世絵の大胆な構図にも影響を受けたことがわかる作品群となっている。そこには、天才と呼ばれた男の苦悩も垣間見えた。37歳でこの世を去ったゴッホだが、もっと長く生きていたらどんな作品を残してくれていたのだろうか。

 

目玉の2作品は写真撮影OK!

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》

今回、日本では珍しく、ルノワール の《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》とモネの《睡蓮の池、緑の反映》の2作品は、写真撮影OKとなっている。ただし、動画の撮影や自撮り棒、フラッシュ、三脚の使用はNG。スマホで撮影したい人は、事前にフラッシュをOFFにする方法を確認しておこう。

もうひとつ、良い試みだなと思ったのは、“子供用”の音声ガイドもあったこと。通常の音声ガイドとは異なり、声優さんが子供の声で子供向けにガイドをしてくれる。簡単な言葉で、どういったところを見たらよいか教えてくれたり、クイズを出してくれたりと、小学生くらいの子供でも絵画や作品に興味を持てる仕掛けになっていた。

 

混雑状況と駐車場

九州国立博物館

筆者が見に行ったのは、公開2日目の日曜日。開館20分前に到着し、100名ほどの列ができていたが、スムーズに入館できた。最初のうちはゆったりと鑑賞でき、徐々に人も増えてきたが、入館待ちの行列ができるほどではなかった。午後に覗いたときも同様だったが、ゆったり鑑賞したいなら、平日に行くか、週末の開館前に並ぶのがいいだろう。駐車場の空き状況は九州国立博物館のHPにあるリンクから確認できるので要チェック。

 

開催概要

特別展「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」
<会期>

2018年5月19日(土)〜 7月16日(月・祝)
<休館日>
5月21日(月)、6月4日(月)、6月18日(月)、7月2日(月)
<開館時間>
日曜日・火曜〜木曜日 9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
金曜日・土曜日【夜間開館】 9時30分〜20時00分(入館は19時30分まで)
<観覧料>
一 般 1,600円(1,400円)、高大生 900円(700円)、小中生 500円(300円)
*( )内は団体料金(有料の方が20名以上の場合)
【夜間割引料金】
一 般 1,400円、高大生 700円、小中生 300円
*夜間開館当日17時以降に当館券売所で販売。夜間割引料金で購入されたチケットで17時以前に入場することはできません。

 

[文]山下侑一郎

九州国立博物館九州国立博物館
太宰府市石坂4-7-2
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※画像データは九州国立博物館から提供されたものを使用しています。

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